遷移系と遷移翻訳系 補遺

檜山正幸 (HIYAMA Masayuki)
Tue Mar 15 2005:start
Tue Mar 15 2005:draft

1. 子供だって“意味の病”(?)

「遷移系と遷移翻訳系」の第1節にお いて、「大人は意味にこだわるが、子供はそんなことはない」といったことを書 いた。だが、子供も既に“意味の病”におかされているのかもしれない、と思 い直す事件(というほどのことではないけど)があった。子供が無意味な記号 操作にあまり抵抗を感じないのは事実なのだが、一方で、無意味としか思えな い言葉の意味を執拗に知りたがるのだ。

2004年の年末から2005年正月にかけて、『ゴジラ FINAL WARS』という映画が公 開された。ウチの息子は冬休みにそれを見に行った(父親同伴)。で、最近に なって、「モスラ」の「モス」が蛾(moth)の“意味”らしいと知ったようだ。 それから彼は、僕にしつこく質問するのだ。「ゴジラのゴジはなに?」「ギド ラのギドはどんな意味?」「ヘドラのヘドって、なんのこと?」と。 -- もう、 ゴジもギドも知らんわ!(ヘドラはヘドロに由来するだろうが、ヘドだけ「な に?」って聞かれても…(*注1)

注1

反吐?

そういえば、だいぶ以前のことだが、「上履き(うわばき)」の「うわ」が 「上(うえ)」らしいと自分で(かな?)見当を付けた息子が、「お父さん、 バキってなに? バキってどういう意味?」と聞いてきたこともあった。

「バキ」で僕が最初にイメージしたのは、漫画/劇画の擬音効果として登場 する「バキッ」、それと、効果音「バキッ」がいっぱい出てきそうな(けど、 実際はさほど出てこないであろう)『グラップラー刃牙』くらいなものだ。で、軽く ホッペタにパンチの真似をして、「バキッって、こう、殴ったりするな」と答え ておいた。「上履き = 上 + 殴る」には、息子も困惑したらしい。しばらく考 え込んでいたが、「お父さん、それは変だ。殴るのは変だ。バキって蹴るんじゃ ないか」と。

2. 蛇足:同伴父兄の感想

『ゴジラ FINAL WARS』の最後の場面、ゴジラはミニラに説得されて破壊を止 め引き上げるのだが、どうもこれはいただけない。ゴジラに理も情もない、 善も悪もない。ただ奔放に、そして理不尽に、破壊の限りを尽くして欲しかっ た。