グロッサランダム(Glossarandom)

檜山正幸 (HIYAMA Masayuki)
Thu Jun 23 2005:start
always:memo

「グロッサランダム」は、glossary + random に由来する造語by檜山。一貫 性、体系性などには拘泥も頓着もせず、言葉の定義や注釈をランダムに書き連 ねる。

目次

1. 約束事

2. 言葉と注釈:2005-06

  1. ‘nullary operator (symbol)’とは引数がない演算(記号)、つまり定 数(記号)。
  2. ‘unary operator (symbol)’とは単項演算(記号)。
  3. ‘Horn formula’はequational implication。e1∧...∧en⇒e の形。
  4. Horn formula/theoryと言えばequationalだと思うが、equational Hornと 表記するケースもある。
  5. ‘カリー(Curry)化’:非形式的な説明→ 「代数と余代数 最初の一歩」の第5節
  6. ‘カリー(Curry)化’:ちょこっと→「正 規構造」の注釈
  7. ‘thin category’はpreorder。
  8. CがDの‘broad subcategory, wide subcategory; 広大部分圏’とは、 C⊆ Dで|C|=|D|。
  9. CがDの‘full subcategory; 充満部分圏’とは、 A, B∈|C|に対して、C(A,B)=D(A,B)。
  10. broadかつfullなsubcategoryはもとの圏に一致する。broadは対象クラスが 最大、fullは局所的に(point-wiseに)最大な部分圏。
  11. 最小な広大部分圏は、対象を共有する離散圏。
  12. ‘closed semiring’はω完備ベキ等半環。 closed semiringは標準的にKleene代数。
  13. ‘ISR’はidempotent semiringの略記。ベキ等半環。ジョイン(加法)半束に 分配的な乗法が入った構造。
  14. ‘dioid’は有限完備ベキ等半環だが、ベキ等半環は有限完備に決まっ ているから、dioid=ベキ等半環=ISR
  15. ‘quantale’は完備ベキ等半環。quantaleはclosed semiringだからKleene代数。
  16. κを基数として、κ<ωでκ完備ISRは‘dioid’、κ≦ωでκ完備ISRは‘closed semiring’、任意のκでκ完備ISRは‘quantale’
  17. ジョイン完備な順序集合があるとき、a∧bは{x|x ≦a かつ x≦b}のジョ インとして与えられる。だから、ジョイン完備な順序集合は束。
  18. ‘Sup’または‘JCLat’は、ジョイン完備順序集合(必然的に束)とジョ インを保存する写像の圏(ジョインを保存するなら必然的にmonotone)。
  19. Sup(JCLat)でenrichされた圏は‘quantaloid’
  20. 1対象のquantaloidが‘quantale’
  21. ‘quantale’は、Sup(JCLat)内のモノイド。
  22. 積(乗法)がミートで与えられるquantaleは‘locale’
  23. localeの圏のopositeが‘site’の圏。atomicな完備束のopositeが集合圏 なのと事情は似ている。
  24. Xが位相空間、O(X)が開集合の代数だとする。O(X)は‘open algebra’と いうこともある。O(X)は典型的なlocale。O(-):Top→Localeという反変関手が 定義できる。
  25. ‘involutive functor, involution’とは、対象の上で恒等 (identity-on-objects)で、対蹠的(antipodal)な共変または反変な自 己関手(endofunctor)。(-)#と書くなら、A# = A、(f#)# = f。
  26. locally ordered category上のmonotoneな反変involutionは‘converse’
  27. Abramskyの‘strongly compact closed categories’: →Q Day 2004 スライド
  28. Walters 等の‘fixed-point semantics’: → 2002 スライド
  29. 片方向完全二部グラフ上の辺ラベリング(値割り当て) = 一般化行列
  30. 最小不動点オペレータμx.g(a, x)が使えるとき、{b=f(a, x);x=g(a, x);}:A×X→B×X のトレースは{b=f(a, μx.g(a, x))}:A→B で与えられ る。これは、Hasegawa/Hyland定理の一例。
  31. トレースτx.{b=f(a,x);x=g(a, x);}が使えるとき、τx.{x'=f(a, x);x=f(a, x);}がfのx-不動点になる。これは、Hasegawa/Hyland定理の一 例。
  32. (N; +, 0)を対象とする‘厳密対称モノイド圏の定義’:→ 「ETBダイアグラム」の第8章
  33. (N; +, 0)を対象とする‘厳密GSモノイド圏の定義’:→ 「ETBダイアグラム」の第8章
  34. Abramskyの‘ネーム’‘余ネーム’の定義: 「コンパクト閉圏」の第6章
  35. duplicatorはramificatorと呼ばれることもある。
  36. Dは局所順序圏で、関手のような対応F:C→Dが、F(f);F(g)≦F(f;g)、 IdF(A)≦F(IdA)のとき、‘lax functor’という。
  37. FF=IdであるようなFをinvolutiveということが多いようだ。antipodeはホッ プ代数で使われている。antipodeの例は、Gを群として λx∈G.f(x) |→ λx∈G.f(x-1)
  38. Abramskyが圏C上の‘仕様構造’(specification structure)を定義して いる。が、その内容から圏C上の‘[ホーア(Hoare)構造]’と呼ぶべきだ と思う。
  39. C上の‘仕様構造’(by Abramsky)は、A∈|C|ごとのプロパティの集合 P(A)と3項関係RA,B⊆P(A)×C(A, B)×P(B)からなる。トリプル(α, f, β)がRに所属するとき、α{f}β と書くことにして、 α{f}β、β{g}γ ⇒ α{f;g}γ と α{idA}α が成立している。
  40. C上に仕様構造があれば、(A, α)を対象として、α{f}β:(A, α)→(B,β) を射とする圏ができる。これこそ、‘[CのHoare(トリプル)圏]’と呼ぶ べきだろう。
  41. ‘仕様構造’については、 Samson Abramsky "Semantics of Interaction" (1997)
  42. これも読むといいかも。 D. Pavlovi'c and S. Abramsky "Specifying Interaction Categories" (1997)
  43. Uffe Engberg, Glynn Winskel "Petri Nets as Models of Linear Logic" (1990)によれば、 ‘quantale’とは、完備ジョイン半束であり、結合的、可換な乗法・が あり、q・1 = q(単位)q・∨P =∨{q・p|p∈P}をみたすもの。可換と単 位性(unital)を足して、ベキ等性(idempotency)を落としたらしい。
  44. ‘完備ハイティング代数’ってなんだっけ?
  45. Peter Selinger at 2005 による‘ダガー圏’(dagger category)とは、involutive, identity-on-objects, contravariant endofunctorを備えた圏である。こ こで、involutiveは(僕の)antipodalと同じこと。involution = antipodal endofunctorってことかな。

3. 言葉と注釈:2005-07

  1. J.P. Mayは、2002年に、 ‘スター圏’(*-category)を定義している。idenity-on-objectsな contravariant involution (endofunctor)を持つ圏。つまりは、Selinger のdagger categoryとまったく同じ。→ "NOTES ON ATIYAH'S TQFT'S"。これ、以下では[May2002TQFT]
  2. [May2002TQFT]‘infinite loop space machine’て何?
  3. [May2002TQFT]局所小な圏Cが‘本質的に小’(essentially small)とは、 |C|をisoで分類した商が小さい(集合である)こと。射の商も小さくなる。
  4. [May2002TQFT]‘可転圏’permutative category)とは、結合律と 単位律がstrictに成立する対称モノイド圏。なるほど、確かに命名するだ けの価値がありそう。
  5. [May2002TQFT]通常の形容詞としては、associative, unital, commutativeを使う。法則を与える自然変換に付ける形容詞は名詞形で、 associativity, unit, commutativityである。例:unit isomorphism λ: ID → F(IC) in D。
  6. [May2002TQFT]法則を与える自然変換は ‘coherent natural transformation’
  7. [May2002TQFT] coherent natural transformationの成分が全部identityのとき ‘strict’、isoのとき‘strong’、単なるmorphismのとき‘lax’
  8. strict(厳密), strong(強), pseudo(擬), lax(緩(?))の使いわけ→ ここらへん
  9. [May2002TQFT]unit coherent natural transformation λ:ID → F(IC) in D。
  10. [May2002TQFT]associativity coherent natural transformation α:F(X) +D F(Y)→ F(X +C Y) in D。
  11. [May2002TQFT]対称モノイド圏(C, ×, I)の対象Xが‘dualizable’とは、 D∈|C|、η:I→X×D、ε:D×X→I があって、 X ≒ I×X -(η×X)→X×D×X -(X×ε)→X×I ≒ X がidentityであり、 D ≒ D×I -(D×ε)→D×X×D -(ε×D)→I×X ≒ D がidentityであること。
  12. [May2002TQFT]対称モノイド圏(C, ×, I)が‘has duality’とは、すべての 対象がdualizableであること。
  13. Mayの‘symmetric monoidal category with duality’は、コンパクト閉 圏(Kelly/Laplaza)とまったく同じ
  14. Mayの‘symmetric monoidal *-category with duality’は、強コンパク ト閉圏(Abramsky)=ダガー・コンパクト閉圏(Selinger)とまったく同じ
  15. Bojko Bakalov / Alexander Kirillov, Jr. "Lectures on Tensor Categories and Modular Functors"を以下[L-TCMF]。
  16. [L-TCMF]モノイド圏(対称性仮定せず)(C, ×, I)の対象Xに対して、Rが ‘右双対’(right dual)とは、e:R×X→Iとi:I→X×Rがあって、 X -(i×X)→X×R×X -(X×e)→X がidentity、 R -(R×i)→R×X×R -(e×R)→R がidentity。
  17. [L-TCMF]モノイド圏(C, ×, I)の対象Xに対して、Lが‘左双対’ (left dual)とは、e':X×L→Iとi':I→L×Xがあって、 X -(X×i')→X×L×X -(e'×X)→X がidentity、 L -(i'×L)→L×X×L -(L×e')→L がidentity。
  18. [Kelly/Laplaza via Shirahata](対称性仮定せず)対象Lと、d:I→A×L、 e:L×A→I の3つ組(L, d, e)がAの‘左随伴’であるとは、 [A≒I×A -(d×A)→(A×L)×A≒A×(L×A) -(A×e)→A×I≒A]の結合 = A 、 [L≒L×I -(L×d)→L×(A×L) ≒(L×A)×L -(e×L)→I×L≒L]の結合 = L 。
  19. [L-TCMF]モノイド圏(対称性仮定せず)が、すべての対称の右双対と左双 対を持つとき、‘rigid monoidal category’と呼ぶ。rigid symmetric monoidal categoryはコンパクト閉圏になる。
  20. rigidの定義で、左双対と右双対が一致することを入れてあるケースと、 入れてないケースがある。一致することが証明できるのか? 非対称の双 対がイメージできないから、全然わからない。
  21. [L-TCMF]右双対をX*、左双対を (*X)と書くと、 X = (*(X*)) = (*X)* 。(続く)
  22. Mayの用語法に従えば、‘monidal category with left-duality’‘monidal category with right-duality’‘monidal category with bi-duality’とでもなるだろう。
  23. [L-TCMF] ‘the pictorial technique’ -- ‘お絵描き技法’ ウムッ!
  24. semi-additive category 要調査。
  25. ‘[荷電境界付きグラフ]’の圏では、始境界(入力)と終境界(出力)を 入れ替える操作が双対化操作(dualizing operator)になっているはず。 有向グラフの向きを逆にする操作がダガーになっているようだ。要確認。
  26. [May2002TQFT]から: "* is written for both duals and the involution. This can be a source of real confusion." -- そのとおり。
  27. permutative categoryの訳語はなにがいい? commutativeが可換だから可 転圏としたが、置換的圏とか?
  28. strict→strictly、lax→?。strictly associativetと言えるけど、lax associativeでいいのか? -- それしかないような気もする。
  29. ‘[荷電境界付きグラフ]’の圏は2圏にすべきだろう。2セルは‘[グラフ の変形]’だろうが、どういう変形がいいのか? 1つの非ループ辺を縮退 させて、両端を同一視する変形(fusionていうのかな)、1つのループな し頂点を取り除いて、そこを経由する辺はすべてバイパス(直結)させる 変形(bypassingか?)が候補。
  30. Tom Weston‘抽象同境圏’ を定義している。和と0(始対象)を持つ圏Cと、自己関手δ:C→C、自然 変換i:Id ⇒ δ:C→Cの組(C, δ, i)で、(1)δは対象の和を保ち、δ(0) = 0、δ(δ(X)) = 0。(2)は本質的に小さい:C0⊆C で、圏同値な小さい 圏C0がある。詳細は、 この論文
  31. Baez/Dolanの"Higher-Dimensional Algebra and Topological Quantum Field Theory"は、 http://arxiv.org/PS_cache/q-alg/pdf/9503/9503002.pdfまたは、 http://math.ucr.edu/home/baez/tqft.ps で手に入る。これに、 Eckmann-Hilton argumentが出ている。 a×b = (1×b);(a×1) = b;a = (b×1);(1×a) = b×a 。
  32. 対称モノイド圏のσは、‘symmetric braiding’ともいう。braidingの特 殊なものだからね。
  33. Imre Tubaは単位/余単 位などを‘duality morphisms’と呼んでいる。
  34. ‘triangular identities’‘zigzag identities’‘rigidity axioms’‘duality axioms’は同じもんだ。
  35. Cが圏で、有向グラフG上の‘[Cハミルトン場]’は、Gの頂点にCの対象、 辺にCの射を対応させる写像。Cの対象が1つに固定されている(Aとする) なら、辺にEnd(A)を割り当てるだけ。(続く)
  36. なんでハミルトン? わからん、そんな気がして、、、では理由にならな い。(続く)
  37. HがG上のCハミルトン場として、点pから点qへの道γにそって射を結合し た値をH[γ]とする。H[γ]:H(p)→H(q) in C。Cが(無限かもしれない) 和が定義できるようにenrichされているなら、γ∈Path(p, q)に渡る総和 ΣH[γ]: H(p)→H(q)が定義できるから、これをS(H;q←p) = S(q, p)とす る。(続く)
  38. S(q, p)があれば、Gの頂点集合U, Vに関して、H(U) = (p∈UのH(p)の和) からH(V)への射をV×Uの行列SU→Vとして表現できる。これはTQFTに なっていそうだ。(続く)
  39. Gの頂点全体をWと置くと、HはW×Wの行列になる。H* をKleeneスターと して、SはH*と同じだろう。U, V⊆Wに対するSU→Vは IU;H*;(IV) となるだろう。IU、IVは、包含に対応する行列。 「;」は普通の積の逆、「†」は転置を示す。
  40. □:C×C→Cが2項関手として、□'(x, y) = □(y, x)として□':C×C→Cを 定義して、σ:□→□'が自然変換であることを書き下すと、braidingの定 義の1つになる。
  41. Imre Tubaのスライド "Classifying braided semisimple tensor categories" (2004-07-07 talk) は面白い。
  42. Tubaのスライドで、法則を与える自然変換を‘constraint’と呼んでいる。 例えば、associativity constrant αとか。
  43. ‘[Janusの圏]’では、トレースは自給自足に相当する。useする 機能を外部から調達しないで、自分のを使う。そして、それを隠してしま う。不動点は自給自足するが隠さない。
  44. ‘[Janusの圏]’のdischargerはNOPスタブだね。マルチキャスト・ポートっ て、duplicatorをエミュレートしているのか?
  45. "categories without identities"をtaxonomiesと呼ぶ?
  46. KleeneスターやPath圏(自由圏)の計算をするには、‘Floyd-Warshall法’だ ろう。→圏の Floyd-Warshall法の論文(PDF)
  47. Floyd-Warshall法はアルゴリズムとして特に優秀ではない。
  48. ‘Event-State双対’これ(PDF)
  49. そういえば、Prattさんは、時間と情報も双対だとか言っていたような。
  50. そのPrattさんの最近の もの(PDF)‘orthoccurrence’だって、珍しい言葉だ(造語?)。
  51. ハミルトン場って、それやっぱり変だ。圏に値を持つ接続かな? ‘[C-接 続]’。C-接続HはPath圏に持ち上がり、Path(p, q)→C(H(p), H(q))になる けど、Path(p, q)もC(A, B)も計量的、測度的にenrichされているなら積 分みたいなことができる、ってsettingかな。Path(p, q)ごとに総和、ジョ イン、平均値、重心みたいなものが決まるってことか。
  52. 圏Cのなかのf:A→Bとg:B→Aの対(f, g)を‘[順逆対;foward-backward pair]’と呼ぶとして、順逆対の圏FB(C)が考えられる。EP対の圏とか、 (f, f*)の形の圏とかはFB(C)に埋め込める。(f, g)|→(g, f)として involutiveだ。
  53. FB(C)上だとEndを関手と考えられる。End(f,g):End(B)→End(A);b|→ f;b;g。CがVでenrichされていれば、End:FB(C)op→Vが定義できる。っ て意味あるか?
  54. 時間推進の生成演算子がハミルトン場(ハミルトン関数のgrad)というこ となら、やっぱり「接続 = ハミルトン場」なのかなぁ? Hに対して、 exp(Ht)が半群(力学系)になる。exp(Ht)の離散ベキ等版がH(n)だろ う。H(n)は、Kleene *-級数をnで切り落としたもの。
  55. ‘インスティチューション(institution)’の定義はいつも忘れる。Sen、 Modの変性(variance)を忘れる。Σを単なるアルファベットとすると、 f:Σ→Γはレターの置き換え(rename)。Σ上のword a1...anは、 f(a1)...f(an)になるから、f:Σ→Γに対して、Word(Σ)→Word(Γ) は共変だ! WordもSenも同じようなもんだからSenも共変、-- あーー、 もってまわった憶え方だなー。でも、これで憶えたかも。
  56. ‘クラトフスキーの閉包(作用素、演算子)公理’もいつも忘れる。
  57. Wikipediaに載ってました、 Kuratowsikiの閉包
  58. 増大性を‘Isotonicity’っていうのか、フーン。‘クラトフスキーの閉包’ では、∪の保存を仮定してるから、これから単調性を出すのだろう。が、 一般には単調でも∪の保存は言えない。演繹の導出閉包では、∪が保存し たら実にツマラナイ。cl(0) = 0 もツマラナイ。
  59. 結局、演繹の‘導出閉包’とクラトフスキー閉包で同じところは増大性と ベキ等性だけ。∪保存から単調性は出るから、クラトフスキー閉包が一般 的閉包であることは言える。
  60. モノイド圏上のモナドで、モノイド積と単位を保存するようなものがクラ トフスキー閉包の圏論的対応物だろう。だが、これじゃどうも条件がきつ すぎるかも。
  61. Wikipediaによれば、isotonicでベキ等な演算は‘Moore閉包’だそうです。
  62. Till Mossakowski等の論文"Extending development graphs with hiding"から、‘インスティチューション’ (institution)などの定義:Modは反変関手(Senが共変)。指標圏 の射σに対するMod(σ)を‘reduct functor’と呼ぶ。 Mod(σ)(M)をM|σとも書く。
  63. σ:Σ→Σ'が指標圏の射、M'∈Mod(Σ')、α∈Sen(Σ)だとして、‘充足 関係’(satisfcation relation)は、M' |= σ(α) ⇔ M'|σ |= α 。
  64. ‘伴意系’(entailment system)とは、Sen(Σ)上に与えられた 関係|-Σの族で、(Sen(Σ), |-Σ)が‘演繹の条件’(単調、反射的、推 移的)を満たすもの。さらに、翻訳(translation)性を持つ。
  65. {α} |- α (反射)、Γ⊆Γ'、Γ|-αならば Γ'|-α(単調)、 Γ|-β for all β∈Δ、Γ∪Δ|-α ならば Γ |- α (推移)。
  66. 推移と閉包作用のベキ等性については考える必要がある。
  67. ‘翻訳関係’:σ:Σ→Σ'に対して、Γ|-α ならば、σ[Γ] |- σ(α)
  68. ‘健全性’(soundness):Γ |- α ならば Γ |⇒ α
  69. αはΓの‘帰結’(consequence):Γ |⇒ α とは、ΓのどんなモデルM に対してもM |= α
  70. 帰結を論理的帰結(logical consequence)と呼ぶことがあるが、これは いかがなものか。これでは、証明論的帰結のように思えるが、実際はモデ ル論的帰結だ。帰結は、極度に超越的な概念。
  71. 健全性を文αを使わないで、セオリーとその伴意関係だけで定義できない か。Γ |- Δ ならば Γ |⇒ Δ だろう。Γ |- Δ の意味は、Δ⊆Γ- で、Γ |⇒ Δ の意味は、「ΓのモデルはすべてΔのモデルでもある」だ から、Mod(Γ)⊆Mod(Δ)ってことか。
  72. Δ⊆Γ- はKleisli圏の射となる。または、閉セオリーだけ考えたもの。 ということは、健全性は、単に反変関手を定義できるって条件か。
  73. Theo(Σ)のKleisli圏または閉セオリー部分圏をTHEO(Σ)とすると、反変 ModΣ:THEO(Σ) → Catが定義できる。TheoやTHEOがインデックス圏 だし、Modもインデックス圏で、インデックス圏がつながる現象。最初の インデックス圏THEOを平坦化すればいいのか。平坦化を2回繰り返したら どうにゃるかにゃ?
  74. Mossakowskiは、(Sen, Mod, |=, |-)で、(Sen, Mod, |=)がインスティチュー ションで(Sen, |-)が伴意系になっているような構造を‘論理系’と呼ん でいる。πインスティチューションってなかったっけ?
  75. ‘順極限(帰納的極限)’‘逆極限(射影的極限)’という言葉がある。 圏論的には、逆極限が‘極限’で順極限が‘余極限’、って、どういうこ とコレ?
  76. (続き)だから、極限である‘積’がプライマリーな概念で、和は‘余積’ となり、双対(の相方)扱いとなる。-- あんまり納得できないな。
  77. 双対にもボケとツッコミというような役割分担はあるのだろうか?
  78. 双対を形成する二者が同じようなものでは面白くないのであって、独立に 知られていたが関係がないと思われていたものが双対で結びつくと楽しい。 可換ノルム環とコンパクトハウスドル空間とか。直和と直積が双対なのも けっこう楽しいと思う。
  79. Till Mossakowski "Colimits of Order-Sorted Specifications "、読んでみるか。
  80. ordered set Aに対してA*は逆順序。f:A→Bはa∈AにBのlower closed setを対応させる割り当て。fの逆像を使ってf* を構成すると、これは ‘category with dualizer’になりそう。
  81. ‘category with dualizer’の例と言えば、なんといっても行列圏でしょ う。それと、converseを持った‘関係の圏’か。-- 同じやん。
  82. 束に閉包演算(-)-が入ったものを考える。ジョインと0(最小元)を保 存する写像fで f(x-) ≦ f(x)- となるものと、その随伴(相方)と なっているgの順逆対を射とするような圏を考える。fをf*、gをf* と 書くことにして f = (f*, f*)と書くと都合がよい。
  83. 上のような圏をなんと名付ければいいのかな? Theories and Deduction systemに由来するから、‘[TD]’でいいか。f(x-) = f(x)- だったら、 ‘保守的(conservative)’と呼んでいいと思うが、要確認。
  84. 再帰代入系と刺激反応系の類似を信じるなら、再帰代入系の指標圏は変数 集合の圏か、またはその余スパン圏。局所的に圏(圏でenrich)とか、指 標圏上にファイバリングされているとかは成立するはず。
  85. やっぱり視点こそ最大の問題かも。視点は私のことだから、私の定式化が 問題。私が神様じゃないこととか、私の状態、私の環境とか、が問題。
  86. 私と外部世界という対比が簡単だけど、私外部世界ってこともある。 何かに注目しているとき、その何かを外からの立場で眺めているから。2 つのものを眺めているときはどうか?
  87. 観測量と観測対象への刺激だけで、すべてが記述できるわけではない。刺 激の応答により私の環境が変化することもある。観測対象+私の環境が記 述対象かもしれない。
  88. 問題:「有界スタックは配列とカウンタで実装できる」を厳密に記述せよ。
  89. 問題:「加群セオリーは可換環セオリーに依存している」を厳密に記述せよ。
  90. 問題:「ベキ等可換モノイドは順序になる」を厳密に記述せよ。
  91. 問題:「命題論理は述語論理に埋め込めて、(一階)述語論理は高階論理 に埋め込める」を厳密に記述せよ。
  92. 問題:よく知られている“本物の理論”をセオリーとして記述せよ。とり あえずは、体論とか、体の上の可換環の上の加群とか。
  93. オーバーロードの話は難しい。オーバーロードは構文的な話だから、意味 論的な多態とは違う。だが、まったく無関係かというと、そうではない。 特にorder-sorted、preorder-sortedな状況では難しい。
  94. ‘[無極性コンパクト閉圏(nonpolar compact closed category)]’とい うものを考えた。dualizerがidentity-on-objectsというだけのことだが、 dual(star)とadjoint(dagger)が一致するってことかも知れない(よくわ からんが)。
  95. スパン/余スパンを使えば、無極性コンパクト閉圏を簡単に大量生産でき そうだ。
  96. モノイド積(+)と結合(;)を混ぜたような演算を1つだけ持つ代数系が 必要かもしれない。演算は記号「#」を使うことにして‘[ハッシュ(hash) 代数]’(かなりひどいネーミング)とでもしよう。ハッシュ代数の演算は、 polycategoryの結合と似ている。
  97. ハッシュ演算はtotally definedで、f:A→B, g:C→Dに対して f#g:A+(C-B)→D+(B-C)となる。だから、域、余域に足し算+と引き算-が必 要だ。極性があったほうがいいかも。
  98. C - B = B - C = 0のときは、ハッシュは結合に一致する。C - B = C、B - C = Bのとき、ハッシュはモノイダル積。足し算はモノイダル積でいいと して、引き算または符号反転(対蹠か?)をキチンと導入する必要がある。
  99. 言語を、‘論理言語’‘式言語’‘コマンド(アクション)言語’と 区別したほうがいいかも。
  100. 論理言語の拡張は、述語(関係)の追加、論理演算の追加、限量子の導入など。
  101. 式言語の拡張は、if(cond)とcaseの追加くらい。
  102. コマンド言語の拡張は、シーケンサ;、if-then-else, while, caseの追加。
  103. "Basic Bicategories" -- A concise guide to very basic bicategory theory, from the definition of a bicategory to the coherence theorem.
  104. ‘ソート’については、「『正規(regular)』 とは何なんだ 3 補足、実例など」の第3節「代数と余代数 最初の一歩」の第4節
  105. ‘Boolean algebra with operators’とは、ブール代数Bにf:Bn → Bが いくつか付いていて、オペレータfは変数ごとにジョイン保存的で厳密 (normalとも言う)、つまりf(..., 0, ...) = 0。モーダル代数(Modal algebra)とかブーリアンモノイド(Boolean monoid)ってのもあるらし い。
  106. ここは便利 http://math.chapman.edu/cgi-bin/structures。あれっ?あんまり書 き上がってないのか、残念。
  107. ここも便利かも http://www.physicsdaily.com/
  108. Cが圏でdが有向グラフとして、グラフ射δ:d→Cは形状がdのCの図式にな る。それらのすべてをDiag(C;d)とする。関手と自然変換と同様な定義で Diag(C;d)は圏になる。dを有向グラフの圏Graphで動かすと、indexed categoryになるから、平坦化して圏Diag(C)ができる。Diag(C)上で考える と、ダイナミズムが表現できないかな?
  109. インスティチューションから定義されるTheoryの写像を関手とみなして、 随伴が存在するとき、そのインスティチューションは‘liberal’??だ、とい うらしい。少なくとも、Maudeの人た ちはそう言っている。
  110. liberalの訳語は‘穏健進歩的’にでもしようか、もともとが政治的用語だ ろうから。「自由」はfreeの訳語とかぶるからダメだろう。
  111. もともと僕は、セオリーのマップfは、順方向f* と逆方向f* が必要 だと思っていたから、穏健進歩派ってことだな。
  112. モデル論やインスティチューションのliberalとconservativeには、なんら かの関係があるのだろうか?
  113. ‘ダガー・コンパクト閉圏’において、対称性、双対、ダガー演算を関係づけ る唯一の条件は、εAA,A* = ηA である。
  114. Computational lambda-calculus and monads -- Moggiの論文。
  115. Categories of Processes Enriched in Final Coalgebras -- 面白い。
  116. 二重圏(double category)の定義も忘れる。使うことがないし。
  117. 二重圏、使うことあるかも。

4. 言葉と注釈:2005-08

  1. エーッ、JavaScritpではドル記号が単なる名前文字! function $(a, b) {return a + b;} はOK。ウーン、そうだったのか。
  2. final coalgebraは‘モジュライ空間’か?
  3. ‘Dioid’に関して、 Mark Hopkinsの記事Wolfram Kahl論文(PDF) Dexter KozenのOn Kleene Algebras and Closed Semirings (1990) Dexter Kozenの A Completeness Theorem for Kleene Algebras and the Algebra of Regular Events (1994)

5. その後:2006-05

これより後の僕のメモは「檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編」にある。移動した経緯は「メモ開始」に書いた。だが、最近(Thu May 18 2006)、グロッサランダム方式も悪くないな、と思っているので、再開するかもしれない。メモ編で再開した(→経緯、→新グロッサランダム